

でした。家庭・学校・地域の中で健やかに育てられなければならない子供たちが、居場所を失って、道路や電話ボックスに居場所を見つけているということです。
その子供たちをある大学の先生がいろいろ調査しました。なぜあなたはこんなことをするのですかという問いに、大人たちが私たちにそんなことを次から次に聞くので、面倒だから「お金が欲しいのよ」と言っているんです。でも本心はちがうようです。変身願望というのが1番目の理由だそうです。
そして2番目は、コミュニケーション。家でも学校でも私はいい子になっているんです。本音の自分を隠して、仮面の私なんです。でも、本当の私の声をだれかに聞いてほしいと思っていても、だれも耳を傾けてくれない。本当の私がわかってほしい。
3番目が、心理的な反抗。親とか、恋人とか、学校の先生とか、友達への反抗です。
4番目はお金が欲しいから。いろんなコスチュームや遊ぶお金がいるためというのです。こうした子供たちに家庭・学校・地域の中で居場所が見いだせるようにしたいものです。
最後に、学社融合の実践事例を少し紹介させていただきたいと思います。まず最初に、国立青年の家・少年自然の家の主催事業の中からさがしてみました。国立中央青年の家では、全国理科教員遺伝学セミナーが7月に2泊3日で行われます。これは教員及び教育行政担当者を対象に、じかに接する生命科学の最先端と題して、遺伝学分野の第一線で活躍中の研究者の指導のもとに、現代生命科学が直面する課題を中心に学習される予定になっております。国立遺伝学研究所と共催で行われます。
また、国立乗鞍青年の家では、冬の自然体験活動を盲学校の生徒さんを対象にして、視覚に障害のある人が乗鞍の冬の自然の中でスキーやそり遊びなどを体験して自然とふれあう喜びを知ってもらおうと、学校の授業を青年の家で行うことを計画されています。
国立赤城青年の家では、夏休みに教職を志す大学生、青年及び現職教師を対象に、教師を志す青年のつどいを計画されています。教職を志す青年がつどい、野外活動を中心とした指導技術の習得や教育の諸問題についての討議を通して、教職についての自己啓発を図るとともに、参加者相互の交流を深めていくというものです。
那須甲子少年自然の家では、環境教育担当職員の講習会を、また高遠少年自然の家では、生活科の体験講習会を教職員を対象に実施されております。そのほか子供たちを対象とした事業がございますが、ここでは教員対象の事業をご紹介しました。
次に、福岡県飯塚市の飯塚市人材派遣事業についてご紹介します。公民館の老人大学で学んだお年寄りが大学院に進みました。その修了生たちが今度は学習成果を生かして飯塚市内の小、中学校へ先生として授業やクラブ活動で子供たちを指導することになりました。学校で不足している分野をこの人材バンクの中から選んで授業に登場してもらっています。
そのビデオを見たことがあります。あるおじいちゃんは、学習指導要領を勉強したり、教材研究をしていましたが、いよいよ中学校へ行く日がやってきました。おじいちゃんはねじり鉢巻きをして教壇に立ち、とても親切に優しく人生を語りながら教えていました。子供たちにはお年寄りのいいところがわかってきたようです。
先生にもチームティーチングと同じような効果があって喜ばれています。子供たちも、近所の人によくあいさつをするようになるなど、学校も変わり、また地域も変わってきました。
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